休職時の社会保険料の労使負担は
従業員が病気やけがで休職した時
従業員が病気やけがで労働の提供が難しくなった際に、休職することがあります。
最近ではメンタルヘルスの不調により休職するケースも増えています。
厚生労働省「労働安全衛生調査」(実態調査)によれば、メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業または退職した労働者がいた事業所割合は、2021年度(令和2年11月1日から令和3年10月31日までの期間)で10.1%に上りました。休業した労働者がいた事業者割合は8.8%、退職した労働者がいた割合は4.1%です(複数回答可)。
ここ3年間を見ても、メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業または退職した労働者がいる割合は、例年10%前後の高い水準で推移しており、休業した労働者の割合は右肩上がりの傾向にあります。
メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業または退職した労働者がいた事業所割合
休職制度は、労働基準法上絶対に設けなければならないものではありませんが、設けていなければ従業員がけがや病気になり休業し、それが一定程度長期にわたった際、会社として困った事態になってしまいます。
就業規則に、
- 期間はいつまでか
- 休職を認める条件とは何か
- 復帰の条件や届け出について
などを、規定しておくとトラブル回避に役立ちます。
休職期間中の社会保険料の負担について
休職中における給与の支払いは原則として必要ありませんが、休職中でも社会保険料(健康保険料(介護保険料を含む)・厚生年金保険料)は免除されませんので、従業員負担分・事業主負担分ともに保険料を納めることになります(産前産後、育児休業期間中は労使とも保険料免除制度があります)。
つまり、休職している従業員から自己負担分を徴収する必要があります。
休職期間中であっても該当の従業員に給与を支払っているなら控除はできますが、一般的にそのような会社は限られています。
よって、あらかじめ従業員からの保険料徴収方法を具体的に決めておくとよいでしょう。
そして、休職に入る際には本人によく説明しておきましょう。
社会保険料の徴収方法
- 休職中の従業員が傷病手当金受給の対象者であるなら、傷病手当金をいったん会社が受領し、社会保険料控除後に本人に手当金を支払う。
この場合は、会社が傷病手当金申請書の受取代理人となる必要があり、本人の同意が必要です。 - 休職している従業員に毎月社会保険料の請求書を出し、期限を定めて会社に支払ってもらう。
- 会社が立て替えて年金事務所などに支払い、復職後に本人から会社に支払ってもらい、相殺する。
- 復職後の賞与で相殺する。
- 退職金支給対象者なら退職金で相殺する。
3~5の方法は復職できない場合や退職した場合は相殺できないことがあります。
休職後そのまま退職となることもままあることを考えれば、1または2の方法が適当でしょう。
会社としては労力がかかることではありますが、ルールを定めておき、金銭トラブルにならないようにしましょう。
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