税金滞納、その後は?
山口県阿武町で新型コロナウイルス対策関連の給付金4,630万円が誤給付された事件では、誤給付されたA氏に税金の滞納があったことから、町が国税徴収法などに基づき差し押さえ手続きを取り、誤給付額が徴収されることとなりました。
このように、税金を滞納した場合は強制的に徴収するための強い権限を行政は有しています。
滞納後に行われる行政手続きについて今一度確認しておきましょう。
税金を滞納するとどうなるの?
税金を滞納すると、特別な手続きを行わなければ、税務署などから催促を受けることになります。それでも税金を払わない場合は財産に対して「差し押さえ」が行われます。
差し押さえられたものが財産の場合は金銭に換える「換価」が行われ、売却して滞納分の税金に充てられます。
督促が必ず行われる
国税については、原則、納期限から50日以内に「督促状」が送られてくることになっています。地方税については、納期限から20日以内と定められています。
この「督促状」を発行された日から10日以内に税金を完納しないと、財産を差し押さえられることになります。
差押調書と差し押さえ
差し押さえの際には、滞納者の元に「差押調書」という書面が送られてきます。
差押調書
(国税庁ホームページ「税大講本 国税徴収法(令和4年度版)」より)
「差押調書」には滞納している税金の金額と、滞納者の財産を差し押さえた旨、どの財産が差し押さえられたのかなどが記載されています。
差し押さえられるものは「第三者の権利を害することが少ない財産、滞納者の生活に支障が少ない財産、換金性の高い財産、保管や引き揚げに便利な財産」を優先するようになっています。
換価と配当
差し押さえられた財産を金銭に換える処分を経て、滞納分の税金に充てられます。滞納している税金よりも、差し押さえた財産の代金が高かった場合は、「配当」として滞納者に支払われます。
国税庁では差し押さえた財産を入札などによって売却し、金銭に換えます。これが「公売」です。現在公売中の財産は「公売情報」で公開しています。
国税庁「公売情報」ホームページ(注:画像は2022年5月27日時点のもの)
(国税庁:「公売情報」ホームページ)
土地や建物、高級車や高級バッグや船舶、さらにはテレビや家具、お酒など、換金性があるとみなされたものは差し押さえの対象となりえます。
納税や換価は猶予を願い出ることができる
どうしても税金を払えない事情がある場合は、納税の猶予や換価の猶予制度の利用を検討しましょう。
これらの申請をすることによって、
- 分割での納税
- 延滞税の税率軽減
- 財産についての差し押さえや換価処分の猶予
といった措置をしてもらえる可能性があります。
税金は期日までに納付しなければ高い延滞税がかかり、さらにそのまま放置すれば差し押さえが発生するなど、放置した分だけ手間と負担が増えていきます。
納付できるのならばそれに越したことはありませんし、できない場合は早めの相談が大切です。
当法人では、納税資金までを考慮した、きめ細やかな個人・法人の申告のお手伝いを行っています。気になる点がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。