Facebook、Google、LINE、ヤフー……ネット広告の消費税課税
インターネット広告とインボイス制度
インボイス制度が始まり、仕入先などとの取引の際に、それが消費税の課税対象取引なのか、また相手方が適格請求書発行事業者なのかの判別と確認が必須となりました。
外見上は取引内容が同じに見えても、よく見ると中身が違うこともあり、きちんとした切り分けが必要です。
ここで取り扱いに注意が必要なものの一つに、インターネットを利用した際に発生し得る、海外との取引があります。
現在、FacebookやLINEなどのSNSへの広告出稿や、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索した際、上位に表示されるよう行うリスティング広告などが、個人事業主であっても気軽に行えるようになりました。
この場合、FacebookやInstagramを運営するMeta、検索エンジン大手のGoogleはアメリカ発祥の会社なので、消費税の取り扱いとしては、2015年税制改正で導入された「国境を越えた電気通信利用役務の提供」に該当しそうに思えます。
国境を越えた電気通信利用役務の提供とは?
電子書籍・音楽・広告の配信などの、電気通信回線(インターネットなど)を介して行われる役務の提供が「電気通信利用役務の提供」であり、その役務の提供が国内の事業者・消費者に対して行われるものについては、国内、国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されることとされています。そして、国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:広告の配信など)については、国外事業者から当該役務の提供を受けた国内事業者に、「特定課税仕入れ」として、消費税の申告納税義務が課されます(リバースチャージ方式)。
2024年7月1日現在、例えばFacebook広告を提供しているのはMeta Platforms Ireland Limitedという国外事業者であり(※契約による)、Facebook広告を出稿した際の請求書にはリバースチャージ方式の対象となる旨の注記があります。
当該役務の提供に係る課税仕入れは、仕入控除税額の計算の基礎となりますが、適格請求書などの保存は必要なく、法令に規定された事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができます。
一方、Google広告はグーグル合同会社(登録番号T1010401089234)、Yahoo広告やLINE広告はLINEヤフー株式会社(登録番号T4010401039979)という日本の会社が提供しています。こちらは国内取引なので、通常の方法で仕入税額控除の適用が受けられます。
リバースチャージ方式に関する経過措置
日本の会社が、Facebook広告といった国外事業者の役務の提供を受けて支払う対価は、上記のようにリバースチャージ方式の対象となります。
ただし、
- 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間
- 簡易課税制度または小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(いわゆる「2割特例」)が適用される課税期間
については、当分の間、「事業者向け電気通信利用役務の提供」は、なかったものとされるため、リバースチャージ方式による申告を行う必要はなく、また仕入税額控除の対象にもなりません。
そのため、リバースチャージ方式による申告を行う必要があるのは、一般課税により申告する事業者で、その課税期間における課税売上割合が95%未満の事業者に限られます。
この申告は手間がかかることが多いので、税理士に依頼することをお勧めします。
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