大病院を紹介状なしで受診する場合の料金引き上げ
大病院の「特別の料金」引き上げ
原材料価格の高騰や円安により、食品や生活用品の値上げが続いていますが、食品だけに限っても10月単月の値上げは6,699品目にも上りました(帝国データバンク:「10月の食品値上げは今年最多の6700品目 値上げ率は年内2番目の高さ 値上げラッシュは10月にピークアウトも予断許さず」より)。
10月からの値上げは食品に限りません。紹介状なしで大病院を外来受診する場合の、患者負担料金も引き上げられています。
そもそもこの患者負担料金は、1996年(初診分。再診分は2002年)に導入されたものです。
導入の目的は、外来患者の集中による、「患者の待ち時間増」や「勤務医の外来負担増」といった弊害を軽減するため。
一定規模以上の対象病院について紹介状を持たずに外来受診した患者などからは、一部負担金(3割負担など)とは別に「特別の料金」を徴収しています。
この「特別の料金」に関して見直しがあり、金額および対象となる病院が拡大されています。
「特別の料金」引き上げの内容は
料金の変更
「特別の料金」はこれまで医科の初診が5,000円以上、再診が2,500円以上でしたが、10月から初診は7,000円以上、再診が3,000円以上へと引き上げられています。
歯科でも初診が3,000円以上、再診が1,500円以上から、初診が5,000円以上、再診が1,900円以上へと引き上げられています。
特別の料金の改定表
初診 | 再診 | |||
他の医療機関からの紹介状なしで受診する患者 | 病院から、他の医療機関への紹介状を交付されたにもかかわらず、その病院を受診する患者 | |||
10月以前 | 10月から | 10月以前 | 10月から | |
医科 | 5,000円以上 | 7,000円以上 | 2,500円以上 | 3,000円以上 |
歯科 | 3,000円以上 | 5,000円以上 | 1,500円以上 | 1,900円以上 |
患者の支払いイメージ
(厚生労働省:「患者のみなさまへ 医療機関の機能・役割に応じた適切な受診を行うようお願いします。」より)
対象医療機関の変更
「特別の料金」の対象となる医療機関の範囲も広がっています。
今までの対象は特定機能病院と、地域医療支援病院でした。
ここに、紹介受診重点医療機関が加えられています。
紹介受診重点医療機関とは、この度新たに設けられた区分です。
「医療資源を重点的に活用する外来」を、地域で基幹的に担う医療機関として明確化します。
どの医療機関が紹介受診重点医療機関となるかは、「地域の協議の場」で協議のうえ、2023年3月頃に公表される予定です。
特定機能病院 | 高度の医療の提供、高度の医療技術の開発、研修を実施する能力のある病院(大学病院など) |
一般病床200床以上の地域医療支援病院 | 救急医療や紹介患者に対する医療の提供などを行い「かかりつけ医」などへの支援を通じて地域医療の確保を図る病院 |
一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関※ NEW!! |
医療法で協議のうえ紹介患者への外来を基本とする医療機関として都道府県が公表した病院 |
※ 新たに紹介受診重点医療機関になる病院の「特別の料金」については、紹介受診重点医療機関になってから半年間の経過措置があります。
まずは住んでいる地域の医療機関(かかりつけ医)を受診し、必要に応じて紹介を受けるなど、医療機関の機能や役割に応じた受診を行うことが、これまで以上に重要です。
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