職業安定法の改正 ~求人情報の取扱いが厳格化~
職業安定法の全面的な改正
2022年10月1日に、職業安定法が改正施行されました。
改正の目的は、求職者が安心して求職活動ができるよう環境を整備し、マッチング機能を向上させることとされています。
主な改正点は、
- 求人などに関する情報の的確な表示の義務化
- 個人情報の取扱いに関するルール整備
- 求人メディアなどに対する届出制の創設
の3点です。改正法には、インターネットなどで求人情報を提供するメディアなどを対象にした規制強化が盛り込まれています。本コラムでは主に、求人を行いたい企業にとって重要なポイントについて解説します。
「求人などに関する情報の的確な表示」とは
求人を行う企業には、求人情報と自社に関する情報について、
- 正確かつ最新の内容に保つこと
- 虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしないこと
が求められます。
対象となる求人広告や手段は、新聞・雑誌・その他刊行物、文書の掲出・頒布、書面、FAX、自社ウェブサイト、メール、メッセージアプリ、テレビ・ラジオ・オンデマンド放送など、ほとんどすべての媒体です。
例えば、募集の終了や内容の変更があった場合には、速やかに削除または内容の訂正を行うことなどが求められます。
「個人情報の取扱いに関するルール」整備
今回の職業安定法改正では、求職者の個人情報を収集する際には、求職者が一般的かつ合理的に想定できる程度の具体的な個人情報を収集・使用・保管する業務の目的をホームページなどに掲載することによって、明らかにしなければならないとしています。
例えば、グループ企業の採用選考にも、収集した個人情報を使用する場合、「自社の採用選考のために使用します」とだけ記載する行為は認められません。
これまでは、採用した従業員の個人情報保護が強く求められてきましたが、求人の応募者に対する個人情報管理についても、意識を高める必要があります。
「求人メディアなどに対する届出制」により求人企業が意識すべきこと
3番目の改正は、求人情報提供サービスを行う者が、信頼できる情報を提供する責任を取れるようにするため創設されました。
近年では、入職経路の多様化が進んでいます。中途入社した人の3割は、求人メディアや広告を目にしたことで入職に至っています。
入職経路(新卒以外)
※2020年 厚生労働省「雇用動向調査」
※新卒以外とは、雇用動向調査における入職者のうち、未就業入職者の新規学卒者を除いたもの
(厚生労働省ホームページ:「令和4年職業安定法の改正の概要について」より)
こういった求人メディアや広告には、求人を行った企業が依頼していないのに、インターネット上に掲載された求人情報を転載したり、プログラムで自動的に検出(クローリング)して転載するなようなものも増えています。結果、最新ではない情報が求職者に提供されてしまうなどの問題が生じています。
また、就活生の「内定辞退可能性」を推定し、本人の同意なしに募集企業に対して販売するといったサービス(2019年8月廃止)も問題視されました。
このような諸々の問題が生じた際、厚生労働省からサービス提供事業者などに対し職業安定法に基づく指導を行うため、求職者に関する情報を収集する募集情報等提供事業者(特定募集情報等提供事業者)に届出制が導入されます。
求人を行う企業にとっては、求人メディアなどを利用する場合、届出がきちんとされている業者であるかの確認が必要となります。届出をした事業者かどうかは、厚生労働省「人材サービス総合サイト」で確認できます。
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