コロナ禍の今こそ!BCP(事業継続計画)策定・認定で各種支援を受けよう
大規模な自然災害が相次いで発生し、さらには新型コロナウイルス感染症収束の見通しがいまだ立たない昨今では、被災時にいかに事業を継続するかを計画した「事業継続計画=BCP(Business Continuity Plan)」がその重要性を増しています。
BCPは国も策定を推進しており、国が定めたフォーマットにのっとったBCPを策定し認定されることで、国からのさまざまな支援を受けることができます。
中小企業がBCPを定める意味
企業の緊急事態時に損害を最小限に
BCPとは、企業が緊急事態に直面した際、被害を最小限に食い止めつつ、事業継続や早期の復旧を図るための方法を取り決めておく計画のことです。
BCPのイメージ
(内閣府:「事業継続ガイドライン」より)
自然災害や感染症拡大の影響は、個々の事業者だけでなく、サプライチェーン全体にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、国は中小企業の自然災害などに対する事前対策(防災・減災対策)を促進するため、2019年に「中小企業強靱化法(中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律)」を制定しました。
さらに、介護事業では2024年からBCPの策定が義務化されるなど、策定に対して国からの要請は強くなってきています。
BCPと企業防災の違い
従来から行われてきた防災対策は、人命安全、建物などの資産保全を目的とし、組織ごとに減災対策や復旧対策を講ずるものでした。
これに対しBCPは、優先業務の継続自体を目的とし、被災時の事業や業務の継続が新たな顧客獲得にもつながり得る戦略的な取り組みとして、優先業務を特定し、目標とする復旧時間・復旧レベルを設定して、その継続に必要な要素の保全などを図るものです。
BCPとは、生命の安全確保や被害軽減に重きをおく従来の防災対策の考え方に加え、重要業務の選定、目標復旧時間の決定、サプライチェーンの観点の対策など、新たな視点をプラスするものといえます。
中小企業でBCPを策定しているのは15%程度
BCPはいざという時の備えとして有用なものですが、策定に際してコストや手間がかかることもあり、中小企業に根付いていないのが実情です。
中小企業庁が取りまとめた2022年版「中小企業白書」では、中小企業におけるBCPの策定状況が取り上げられています。
事業継続計画(BCP)の策定状況の推移(中小企業)
(中小企業庁:「中小企業白書 第1部 令和3年度(2021 年度)の中小企業の動向」より)
策定済みの中小企業数は年々わずからながら増えてきていますが、2021年度時点で15%しかなく、約半数の企業では策定の検討もなされていません。逆に言えば、BCPを策定すれば他社との差別化を図ることができます。
策定した企業が何を大きなリスクとして捉えているかは、以下の通りです。
事業の継続が困難になると想定しているリスク(中小企業)
(中小企業庁:「中小企業白書 第1部 令和3年度(2021 年度)の中小企業の動向」より)
70%近い企業が事業継続が困難になるリスクとして、自然災害を上げています。また、60%の企業が感染症を大きなリスクとして捉えています。
さらに、策定した中小企業が感じている、策定したことによる効果は以下の通りです。
事業継続計画(BCP)を策定したことによる効果(中小企業)
(中小企業庁:「中小企業白書 第1部 令和3年度(2021 年度)の中小企業の動向」より)
リスクへの意識向上、事業の優先順位の明確化、業務の定型化・マニュアル化が進んだなど、策定したことにより副次的な効果が生まれたことが分かります。
「実際の事業トラブルに遭遇し適切に対応できた」とする中小企業も、10%近くいます。
自治体によってはBCP実践に必要となる経費への助成も
東京都では、策定したBCPを実践するために必要となる基本的な物品・設備などの導入に要する経費の一部を助成する制度を設けています。
策定が簡単なうえに特典もいっぱいの「事業継続力強化計画」
国のBCP策定支援活動の一環に、「事業継続力強化計画」という認定制度があります。これは、同計画にのっとってBCPを策定し、経済産業大臣の認定を受けるというものです。
認定を受けることで税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。
従来のBCPは、企業にとってハードルが高いと認識されている一方、同計画はA4用紙4枚程度と比較的簡易な様式であり、中小企業がより取り組みやすい内容となっています。
事業継続力強化計画の認定を受けるメリット
1.金融支援
信用保証協会による信用保証のうち、普通保証などとは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。また、設備資金について、基準利率から0.9%引き下げられます。
2.防災・減災設備の税制優遇
計画に記載された対象設備の取得などを行い事業に使用した場合、以下の税制措置を受けることができます。
・特別償却20%(2023年4月1日以後に取得などをする対象設備は特別償却18%)
3.優先採択
計画認定を受けた事業者は、ものづくり補助金などの審査の際に加点されます。
4.損害保険会社などの支援
連携する企業や地方自治体などからの支援措置が受けられます。
5.社会的信用
中小企業庁HP上で、認定を受けた企業として公表されます。
6.ブランド力向上
認定企業はロゴマークを活用できます。
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