クラウド型勤怠管理システム導入成功の秘訣 補助金・助成金の活用も
クラウド型勤怠管理システムとは
導入進むクラウド型勤怠管理システム
近年、在宅勤務といった多様な勤務体系が急激に広がり、また、2020年からタイムカードなどの労務管理書類の保存期間が5年(当面の間は3年)に延長されたこともあって、労働時間の把握がより一層重要な経営上の課題になっています。
このような環境の変化を受け、勤怠管理もかつてのタイムカードの打刻からパソコンによる管理が増え、どこにいても勤怠を入力できるクラウド型勤怠管理システムが脚光を浴びています。
今回は、クラウド型勤怠管理システムの導入を軌道に乗せるために必要なことや、導入にあたって活用できる補助金・助成金について取り上げます。
システム導入を事業の発展につなげる
勤怠の見える化、勤怠集計の効率化は、クラウド型勤怠管理システムの導入で飛躍的に改善されます。
しかし導入するにあたって重要なことがあります。
それは経営者の、システム導入で会社の生産性や働く環境、待遇などを良くしていこうという覚悟です。
労働時間を正確に記録することがいかに重要か、折に触れ従業員に伝えていかなければ、運用面で支障を来すこともあります。
打刻漏れを防ぐには
打刻漏れ、打刻間違いをしたときの対処の仕方を研修などで周知徹底し、漏れ・間違いが放置されないようにします。
打刻漏れが度々あると正しい管理ができません。業務が終了しても打刻をせず会社に残っている社員、退勤の打刻をしているのに会社に残っている社員などには適正な打刻をするための指導が必要です。
心理的な対策として、就業規則に打刻ルールを載せ、「正当な理由のない打刻漏れ」がある場合は懲戒、 人事考課査定の減点といった対処も考えます。
なかなか打刻が徹底されないまま放置すると、導入が失敗へと結びついてしまいます。
パソコンのログオン・ログオフ、職場の入退場記録などとも照らし合わせ、事実と異なることがないか管理しましょう。
また、困ったときにはすぐにサポート担当者に連絡できる体制も必要です。
クラウド型勤怠管理システムは、ICカードや指紋などを読み取って物理的に事業場への入退場を記録するものもありますし、パソコンのログオン・ログオフに連動しているものもあります。
これらの機器に度々障害が生じ問題が放置されると、システムへの信頼が損なわれてしまいます。
勤怠管理システムを選ぶ際のポイント
システムは会社のニーズに合うことが大切です。
- 自社の勤務形態に対応しているか
- 給与計算や経費精算などのシステムとの連携は可能か
- 操作マニュアルは公開されているか
- システム管理会社にチャット、メール、電話などで質問できるか
- サポートは有料か
などを調べ、あらかじめ定めた予算と欲しい機能が釣り合う商品を選びます。
料金は、利用者数に応じた従量課金制になっていることが一般的です。
クラウド型勤怠管理システムは、導入に際して補助金・助成金が支給されることもあります。それらの活用も検討しましょう。
クラウド型勤怠管理システム導入で活用できる補助金・助成金
IT導入補助金
IT 導入補助金は、中小企業・小規模事業者に、自社の課題やニーズに合った IT ツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップを支援するものです。
クラウド型勤怠管理システムの導入も対象です。
補助金額・補助率・補助対象経費
通常枠 | ||
A類型 | B類型 | |
補助金額 | 30万~150万円未満 | 150万~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | |
プロセス数※ | 1以上 | 4以上 |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
補助対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大1年分)、導入関連費 |
※「プロセス」とは、業務工程や業務種別のことです。
対象者
中小企業・小規模事業者など
URL
働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)
働き方改革推進支援助成金は、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備などに取り組む中小企業事業主を支援するものです。
生産性を向上させ、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するために、「労働時間適正管理推進コース」が設けられています。
補助率
3/4
事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器などの経費(下記「助成対象となる取り組み」6から9の経費)の合計が30万円(税込)を超える場合、当該経費の補助率は4/5となります。
助成上限額
100 万円
助成上限額の加算
下記成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者(雇い入れ後3月を経過しない労働者を除く)の時間当たりの賃金額の引き上げを3%以上または5%以上行うことを成果目標にすることができます。
賃金引き上げは3%以上または5%以上のいずれかを選択します。
加算額は、指定した労働者の賃金の引き上げ数の合計に応じて、下表のとおりです。
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11人~30人 |
3%以上引き上げ | 15万円 | 30万円 | 50万円 | 1人当たり5万円 (上限150万円) |
5%以上引き上げ | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円 (上限240万円) |
助成対象となる取り組み
いずれか1つ以上実施
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定などの作成・変更
- 人材確保に向けた取り組み
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
※研修には、業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
成果目標
以下の1から3までのすべての目標達成を目指して、上記「助成対象となる取り組み」を実施してください。
- 全ての対象事業場において、新たに勤怠(労働時間)管理と賃金計算などをリンクさせ、賃金台帳などを作成・管理・保存できるような統合管理ITシステム※を用いた労働時間管理方法を採用すること。
※ネットワーク型タイムレコーダーなど出退勤時刻を自動的にシステム上に反映させ、かつ、データ管理できるものとし、当該システムを用いて賃金計算や賃金台帳の作成・管理・保存が行えるものであること。 - 全ての対象事業場において、新たに賃金台帳などの労務管理書類について5年間保存することを就業規則などに規定すること。
- 全ての対象事業場において、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者および労務管理担当者に対して実施すること。
上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引き上げを3%以上行うことを成果目標に加えることができます。
対象者
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
- 全ての対象事業場において、交付決定日より前の時点で、勤怠(労働時間)管理と賃金計算などをリンクさせ、賃金台帳などを作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していないこと。
- 全ての対象事業場において、交付決定日より前の時点で、賃金台帳などの労務管理書類について5年間保存することが就業規則などに規定されていないこと。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、36協定が締結・届出されていること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則などを整備していること。
URL
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891_00001.html
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