2022年4月から適用開始!成年年齢引き下げで影響を受ける相続税の未成年者控除
民法の成年年齢の改正と税法
2018年6月13日に民法改正法が成立し、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
それを受け、対象年齢を20歳から18歳に引き下げる税法上の改正が2019年に行われました。
以下、一覧列挙します。
対象年齢が20歳から18歳に引き下げられる税制
- 相続税の未成年者控除の対象相続人
- 相続時精算課税制度における受贈者
- 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例における受贈者
- 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予における受贈者
- NISA非課税口座開設可能居住者
- ジュニアNISAの開設ならびに非課税管理勘定及び継続管理勘定の設定可能居住者
- 国税犯則調査手続における臨検等及び国税徴収手続における捜索の立会人並びに税理士となる資格を有する者
上記6と7は2023年1月1日からの適用、他は改正民法の施行日と同一の2022年4月1日からの適用です。
相続税の未成年者控除の改正内容(2022年4月1日~)
未成年者控除とは
相続税の未成年者控除とは、相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引くものです。未成年者控除が受けられるのは、次のすべてに当てはまる人です。
未成年者控除の対象者
- 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
- 相続や遺贈で財産を取得したときに20歳未満である人
- 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であること
差し引かれる未成年者控除額は、2022年4月1日までは、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。
- (20歳-相続開始時の年齢)×10万円
また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。
改正により、今年の4月1日からの控除額の計算式は、
- (18歳-相続開始時の年齢)×10万円
になります。
未成年者の内に何度かの相続を経験する場合、控除額は相続のたびにリセットされるわけではなく、2回目以降の未成年者控除額は、過去の相続での負担すべき相続税額が少なくて控除しきれなかった場合の控除未済額です。
では、改正前と改正後に相続があった場合はどのように計算すれば良いのでしょうか。
控除未済額の修正計算
例えば、1回目の相続が2019年(11歳、相続税額50万円)に開始したとした場合、1回目の控除可能額は
- 90万円(=(20歳-11歳)×10万円)
であり、相続税額を超えているので相続税額全額が控除され、控除未済額が40万円残ります。
2回目の相続が2022年(14歳、相続税額100万円)に開始したとした場合、1回目相続時の控除未済額を18歳に達するまでの年齢で計算し直し、
- 20万円(=(18歳-11歳)×10万円-既控除額50万円)
とします。これが、2回目の控除額です。
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